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【入試】はじめてづくしの受験と配慮
ぼくが決めた道【2】
オリンピックとパラリンピック
大久保(母) 合理的配慮の話し合いを進める中で、教育委員会の方が、こんな風にお話をされたんです。
「オリンピックにもルールがあるよね。規定があって、みんなそこに従って協議をしているよね。だから、合理的配慮を使うにあたって、北海道教育委員会が定めた入試の手引き書というのがルール書だから」
というのがあちらの言い分だったんです。
大久保(子) その時、僕はこう言いました。「オリンピックとパラリンピックっていうルール違いますよね。パラリンピックはルール違うのに、車椅子がもしかしたら健常者の人から見たら楽かもしれないけど、ちゃんとルールに従って競い合って金メダル、銀メダル取ってますよね。金メダルは同じ価値ですよね?」「僕はそもそも、パラリンピックなんですが・・・」って、「もし、それでルールに不備があるのなら、変えるところなんじゃないですか?」「僕、それがパラリンピックだと思うんですよね。」と。
大久保(母) 配慮決定権も合否決定権も高校の校長にあります。認めるのは、志望校の校長です。シミュレーションの時に、志望校の先生が「こういうことで困ってる子はいっぱいいる。多分、世の中にいっぱいいるんだよ。たまたま僕らもそれが初めてで、これに関して、僕はわがままとか迷惑とか思ってないから。」と言ってくださいました。
さらに「あなたがうちを志望校としてくれたことは、すごく嬉しいことだ。うちにとっても初めてだし、あなたにとっても初めてだっていうことで、お互いもっと気楽にやろうよ。」と。
一般受験、推薦のシミュレーション
大久保(母) 彼が、一般受験ができるようにまでシミュレーションはしてはいたんですけど、実は、今回は推薦というフィールドを使って入ったんです。ただ、自己アピール文があるんですが、「北海道の書式を拡大するから手書き」と言われたんですね。
それで実際に彼の字を書く姿、そして書く字を協議の場で見てもらって。だから、難しいんですよ、ということもお見せしました。そうして、やっと出願は保護者が代筆、自分のところの名前だけは直筆ですけど。アピール文に関してはデータで作ってPDFで渡すので、そこにテキストボックスなど使って、入力して出力したものを公的書類と見なすというところから、協議は10月がスタートでした。それが決まったのが11月でした。
なので、一般受験で配慮を決めるまでというのは、もしかしたらそこで落ちるかもしれないですよね。定員が割れてるから絶対受かるという確信は正直あったんですけど、もし出願変更したいって言った時に、出願変更できる権利を彼に保証するというのは、保護者が唯一できることなんです。
これ公になっていないんですけど、北海道の合理的配慮は1校目と今回高校と協議をしました。じゃあ、出願変更しますという場合、1校目で決まったことは、2校目にスライドして持っていけるんです。これは協議を実際にして初めて北海道教育委員会側の担当者から聞き、驚きました。
ただ、ハード面と運用面のことが、どうしてもその学校での差があるので100パーセントは認められないけれど、検討はしてもらえるんです。
菊田 なるほど。出願変更は、実は東京も大問題で。時間がないために、実質無理なこともあって。
大久保(母) 「出願変更をしていいですよ」と、ただ、合理的配慮が認められるかどうかに関しては、また協議ですということで、ダメだとは言われてないんですよ。でも、時間がない。
菊田 東京都同じ事情ですね。実際、体力的な面でもかなり厳しい。
大久保(子) 僕はある程度、そういうのをやってる人がいることを知っていたので、こういう方法もあったし、先輩方もやってきたんだって言ってやってきたんですけど。今思うと、これを後輩にやらせちゃいけないな、と思います。
菊田 こんなに大変な思いを後輩に引き継いで行ってはいけないということですよね。
中学校時代の友だち
大久保(子) これを年下にやらせるのは、ちょっと違うだろうと思って。同い年の友達にも言ったんです。「僕、面談して、こういうことがあるんだよ。大変なんだよね」って言ったら、「お疲れさん」と言ってくれて、「お前すげえな」って、「お前、昨日何時までいた?」って聞くので、「帰ってきたの9時」って言ったら、「お前よく学校来たな」って言ってくれました。
菊田 その仲間はね、これからもずっと君の理解者だと思うよ。今ね、うちKIKUTAっていうところで子どもたちを教えてるんだけど、ちょうど君の仲間と同じように、息子の中学校の仲間が今大学生になって、その子たちが今、読み書き苦手な子どもたちを教えてるの。
大久保(子) 友人には恵まれていました。
菊田 友達同士に垣根はないのに。大人の事情を挟むとどうしてこんなに垣根があるんだろう。
大久保(母) あとやはり、保護者の中でも情報共有をする場所がないんですよね。この田舎で、ディスレクシアだとか、読み書きの困難さを抱えてる子たちの。文科省の実数を当てはめたとしても母体がちっちゃいので。1クラス32人に対して10パーセント、もし、いたとしても3人。もう本当に少数になりますよね。だから、数字の危機感がないんですよ。だとしたら、今回息子がこういうことで、ラッキーだった方だと思うんですよね。それを次の方に生かせてもらえるように願っています。
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【予告】
次回は、5月15日公開です。
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