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自由へ ~昔思ってた自由と今の僕~
菊田 ゆうすけ
僕はアスペルガー症候群。世で言う「障がい」を持っている。読み書きが困難で苦労した。昔の僕は自分の障がいを嫌い、そして自分を嫌っていた。だから僕は、自由を欲しがった。
二年生の時、授業中脱走し、隣の公園で遊んでいた。それも自由を欲しがっての行動だと、今は正直に思う。当時は、自分に嘘をつき、分かる理由も分からないようにしていた。
三、四年の時はもっと自分への攻撃がエスカレートした。「自分は死んだ方が良い」、「自分はバカだ」、「誰も必要としていない」色んなことが僕の心に浮かんだ。クラスメイトに「死ね」と言われて、本当に窓から飛び降りようとした事もある。その時は、担任の先生に止められた。「障がいが無ければ苦労しない、こんなに苦しい思いをしなくて済む。」そんな話を先生にした。先生は「自分も自殺しようと思ったこともある。でもいろんな人に会って考えが変わった。」と返してくれた。僕の自由は人にある。人と関わることで自由を手に入れる。そう思った。でも当時は友達がいなかった。遊んでくれる人はいたけど、そこでトラブルになり、そのあと話してすらくれなくなった。
そんな思いで四年生を終え、五年生になった。クラス替えだった。嬉しかった。人と関われる、自由になれる、障がいで困ることもない。そんな確信の無いことでもよかった。五年の五月、早速自分の事を伝えた。理解してくれるかドキドキだった。そしてワクワクしていた。皆はおそらく理解してくれた。五年のある日に「ピタって自由だよね」と言われ嬉しかった。「自由に近づけた」そう思った。
でも、読み書きには不自由があった。昔から字を書くのにすごくイライラし、漢字の宿題をやったことはほとんどなかった。そんな五年の夏「DO-IT」と言うプログラムに参加した。そこでは読み書きが不自由な子達にipadを渡し、学校で活用出来るよう教えてくれる。そこでipadの使い方を習い、「これなら僕も板書を写せる。」そう思った。それと同時に悔しかった。この事をもっと早く知っていればここまで苦労しなかった。もっと早く自由になれた。時間を返せ。でも誰も時間を取ってない。返せと言っても返って来ない。時間はそう言う物だ。そこに気がついた時、少し悲しくなった。いろいろ進歩があった一年だった。
六年になり、ipadを学校で使わせてもらえるようになり、読み書きの不自由もなくなった。これでやっと開放された。自分を少しだけ好きになれた。荷が下りた感じがして楽になった。
楽しくない日はあったけど、進歩がない六年間じゃなかった。そう実感する。これからは、「人と関わる」だけでなく「信頼できる人」を数人でいいからつくりたい。既にいるのかもしれないけど、それが誰なのかは自分でもわからない。そこにチャレンジして行きたい。そう決めている。
(小学校6年生時の卒業作文より)
母親からのコメント
読み書きに困難があったので、作文は到底完成しないというのが常でした。
タブレットを使うようになったら、作文が書けるようになりました。
ですから私の記憶ではこの卒業作文が、一生で2つ目の作文です。
この作文を読むまで、息子の内面がこれほど成長していることに気づきませんでした。
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