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先生こそ知ってほしい
2018年6月24日、文部科学省初等中等教育局 特別支援教育調査官 田中裕一様と、理事の武井が対談しました。特別支援のスペシャリストである田中様に、読み書きに困難を抱える子どもたちを取り巻く課題と支援のあり方についてお聞きしました。
武井 前回は、ストーリーバンクをぜひ学校の先生に活用して頂きたい、というお話を伺いました。保護者や本人から見たらどんな意味がありますか?
田中 僕は、学校よりも保護者の方にとってより大事なものだと思うんです。なぜかというと、学校では大勢の子どもを見る。40人とか100人とか、10年単位で考えたら400人とか500人の子どもを見るわけです。そうすると、ある程度、客観的な思いが出てきます。「だいたいこの学年だったらこんなもんかな」 というような。だけど、うちも子どもが一人いますが、子育てをしていると自分の子がどうなのか、わからないですよ。
武井 比較するものがないんですね。
田中 そう、比較できない。「これがふつうかな?」とか思うわけですよ。「こいつ、がんばってへんの かな、もうちょっとがんばったらなんとかなるんちゃう?」とか。兄弟がいたとしても100人も200人も いませんから(笑)。
そんなとき、データベースがあれば判断する際の材料になると思うんですよ。「ああ、こういうことも ありえるんだ」という。そして、保護者自身が迷ったときにもデータベースが参考になる。似ている子 がこんなことをしている、こんな配慮をされているんだということがわかれば、「うちの子にもなにかいい方法があるかもしれない」と思える。それが大事なんです。
お母さんもお父さんも「そんなことやれるわけないでしょ」と思っていたのが、「いやいや、事例がありますよ、全国に300件」と言われたら、「うちの子にも合う方法を探してみよう!」となる。だから、 保護者にとってこうしたデータベースはすごく有用だと思います。
子どもだって自分でデータにアクセスして、自分と同じ年齢の似たような状態の子がこんなことをや ってもらってるんや、というのを知ったら「おれもやってほしい」と思うかもしれない。これは本人に とっても非常に大きいです。
武井 社会に対してもこのデータベースが何かいい影響を及ぼすと思いますか。
田中 個別の教育支援計画、個別の指導計画というのは作成したら終わりではないですよね。作成したら活用し、つないでいく。「つなぐ」というのは、引き継ぐということです。
例えば受験で配慮してもらった子が、それ以前に小学校や中学校で個別の指導計画でも配慮をしてもらっている可能性がありますよね。それが受験を経て次の学校に引き継がれ、また個別の指導計画なり 教育支援計画ができます。そして、それがまた次の学校に引き継がれ…というのを何回か繰り返すと、 やがて社会人になる。その流れでいくと、会社に入ったときに面接の際の配慮事項になってもおかしくないのではないか。
このように配慮というのは学校だけの話ではないのです。障害のある子はどこかで障害がなくなるわけじゃないですから、社会に出ても当然、配慮が必要な状況が考えられます。例えばハローワークで、「僕にはこういう障害があって学校でこんな配慮をしてもらったんです。受験ではペーパーじゃなくてパソコンを使わせてもらいました」と言えば、もしかしたら入社テストのとき、小論文を手書きじゃなくて パソコンを使ってやっていいよ、という話になるかもしれない。
配慮は教育で終わるものではなく、ずっとつながっていくものだと僕は思います。務めを終え退職してからも、もしかしたらつながっていくかもしれない。例えば遺言、とか(笑)。
次回Part3は9月30日upです。しばらくお待ちください。
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