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あるよセレクト
2021.11.01
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#35【検査】発見があふれる〜多角的な視点を磨く[3]

【3】的確な情報の与え方

 

川本 それから、視覚認知の苦手そうな娘に、家庭の中でしていることを少しご紹介しますね。

先ほどの、文字の書きの教え方もそうですが、5歳の娘は、おもちゃの片付けが苦手で、すぐ物をなくしがち、帰ってからやることの手順も忘れがちです。「お弁当箱出してない!」「マスク出さなかったから洗えてない!」ということがよくあるので、家の中ではこんな工夫をしています。やることリストを用意し、「かえったらやること」をメモにしてあります。少しは改善し、「やることリストの紙どこだっけ?」と紙を見ながらなら、出来るようになりました。

また、片付けしやすいように、棚には、中に入っているおもちゃの写真を貼っています。

 

どっちが良い悪いということではなくて、勉強でも日常でもそうですが、どういった情報を本人に与えてあげた方が、勉強しやすいのか、その場所にたどり着きやすいのか、ということだと思うんですね。

娘もそうですけれども、検査は取っていないけれども、日常生活の中で私が分かったこともありますし、また、検査を取ることで、ヒントになることもあります。「検査」は、一つの材料になるというイメージですかね。

 

野中 心理学的な知識を持って、育児をするというのは、また面白いですね。そこからもらえるヒントがすごくあります!

 

 

【③ワーキングメモリー指標(WMI)】

野中 次は「ワーキングメモリー指標」について教えてください。

 

川本 ワーキングメモリーは作業中の一時的な記憶です。聞いたものを保持しておく力。 口頭の指示の聞き取りとか。注意力・集中力みたいな所に関わってきます。

 

野中 ということは、一度に指示をいっぱい出してしまうと分からなくなってしまうとかいうことですか。

 

川本 そうですね。

 

菊田 息子の場合、「指示は2つまでにして!」と小さい頃から本人に言われてきたので、19歳になった今でもそうしています。そして残りの2つは私が覚えています。苦笑。

でも、ワーキングメモリーを見るとそんなに低くないんですよね。なぜでしょう?

 

 

川本 そういうことが多々あるんです。 日常生活の中で困っているはずなのに、数値的には高いとか。ここは得意だと思っていたのに、意外と数値が低いんだね、とか。やっぱりそういう矛盾が生じてきて、実態がそのまま検査に表れるとは限らないんですね。 そこの差を、一緒に考えるのが心理士の仕事かなと思っています。

 

菊田・野中  へー。

 

川本 検査者の方も、ある程度日頃から関係性ができていているならいいですが、はじめましてに近い状態だと、正直、検査者もやはりドキドキします。笑。検査に乗ってくれるかな、とか、協力してくれるかなとか。

 

検査結果だけでは、その子のことは分からないというのは本当で、検査上の数値と実際に会った接触感が違うことはよくあります。数値よりは、本当の力はもっとあるのかもなというお子さんはいらっしゃいますし、逆に知的遅れがありそうだなと思っても検査を取ったらすごく高く出る場合もあります。

 

やっぱり、そういうギャップが出てくるんですよね。そのギャップが何でかな?と考えるだけでも、少しヒントになってくると思いますね。例えば、ワーキングメモリーでは、検査としてその場で答える”記憶の問題”と、”日常生活での記憶”とでは違うこともあります。集中が持続できるかどうかとか、注意力というところにかかってくる可能性もありますよね。先程の菊田君の例ですと、検査では、検査者が出題してすぐに解答します。でも日常生活で覚えておくことって、覚えた後にしばらく時間が経つし、何らかの行動を挟んだ後に思い出さねばならない場合が多いですよね。頭に留めておいてすぐに再生することは得意だけれど、留めたまま他のことをした後で再度思い出すとなると難しいということかも知れません。

 

野中 なるほど。数値だけでは一概に言えないということですね。

 

 

【④処理速度指標(PSI)】

野中 では、4つ目の「処理速度指標」について教えて頂けますか?

 

川本 はい。「処理速度指標」は文字通りどれくらい早く物事を処理できるかを見る指標です。この「処理速度指標」に含まれる下位検査だけは、鉛筆で“書く”という作業がはいってきます。ある程度注意を持続させるとか、飛ばすことなく目で追えているか、スムーズに見て書いたり印をつけたりできているか、「視覚運動」や「目と手の協応運動」も見ることができます。結構小さい枠に書くので、どのくらい細かく枠内に書けるかというところが見れます。WISCでは LD かどうかは分からないし、診断はできませんが、検査で見ながら写している様子を見ると、「これは板書大変そうかな」とかいう察しはつくんですね。

 

そこで「大変そうだな」と思ったら、URAWSSとか読み書きに特化した検査、胃カメラからもう1つ精密検査のような、よりそこを見るための検査を取るべきなのかなと思います。

 

菊田 今まで読み書きに関する検査バッテリーは、はっきりして来なかったと思うんですね。医療機関でWISCを取って、そこで弱い部分があるということが分かったら、読み書き検査のバッテリーと組み合わせて、より詳細に検査を取っていただくっていうこともありですよね。

 

川本 そうですね。多くの場合、心理士は医師からオーダーが出て検査を取るものなので、お医者さんの方から、読み書きに関するより明確な検査ということで、心理士にオーダーを出せる流れになればベストだろうなとは思います。

先程お話した田中ビネーやWISCってマニュアルがとっても分厚くて、出題の仕方や用具の提示の仕方、お子さんがこう答えたら、○○と再質問するということまで事細かに決まっています。なので、検査をとれるようになるまでにかなりの訓練が要ります。URAWSSに関して、私は恥ずかしながらこれまで詳しく知らず、「読み書き配慮」さんでの講習で初めて詳しく学ぶことができました。WISC等に比べると簡単に実施できて、読み書きの困難さを「見える化」するツールだと思うので、LDの理解とともに検査が知られ、実施できる心理職が増えていくといいなと思います。

 

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どうぞお楽しみに。

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