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本人・保護者・教師とのコミュニケーションの土台づくり
本人・保護者と教師が合意形成していくために必要なことはなんですか?—-
お互いの人間関係が良好であるということです。実は教師と子どもの人間関係をうまく作っていくためには、学級の子ども達同士の関係をうまく作っていくことが大事です。それができると、教師と子どもの人間関係もできていくんです。本人とまわりの子どもが「この学級楽しい!」という状況を作ることにより、教師と本人、まわりの子どもの関係ができていきます。そのために、先に紹介したような楽しい活動や、自尊感情をはぐくむ取り組みが重要となってくるわけです。
同じような構図で、教師が、保護者と子どもがよりよい関係になるための情報提供をすることで、教師と保護者との良い連携ができていきます。
例えば、「うちの子宿題しないんですけどどうしたらいいですか?」という保護者の問いには、叱っても効果はないと伝えます。大切なのは、どのように褒めていくか、認めていくかなんですね。例えば、宿題があることを覚えていただけでも褒める。連絡ノートに書いてきたら褒める。連絡ノートがランドセルに入っていること、これも十分褒める材料になります。“ランドセルを自分の置き場所にちゃんと置いていた“なんて、自分でやったらもう花丸です。保護者にも練習が必要なんです。”怒る”のではなく”違う方法”で子どもにアプローチする練習です。
もちろん、社会的に認められないよくないことをした時には、叱ることが必要です。でもそれ以上に、“どうしてそうなったのか”のコミュニケーションを取ることが大事です。このように、子育てには親子の間で良質なコミュニケーションが必要なんですね。
しかし、実生活においては時間がないという現状もあります—-
良質な親子のコミュニケーションのために、オススメの習慣があります。
・日常生活の一こまを一緒にやる(勉強以外)
・お風呂に一緒に入る
・朝、夕、一緒に歯磨きをする
・一緒に遊ぶ
・テレビを消す時間、スマホに触らない時間、ゲームをしない時間をつくる。
日常の一コマとして、オススメは料理です。料理には段取りもありますし、後片付けもあります。「おいしいね、よくやったね」とほめる機会にもなります。
また、もう一つ大切にしたいのが“静かな時間”です。中でもテレビを消す時間の大切さ、勇気をもって静かな時間を作って欲しいと思います。テレビを消す時間があれば、いつも以上にコミュニケーションが増えるでしょう。テレビを消して食事をしたり、食事が終わったら10分でもいいから静かな中で、「今日どうだった?」という話をする時間を作れたらいいですね。静かな時間が大事なのは、学校でも同じです。「聞く」ための指導をするには、静かでなくてはなりません。ざわざわした学級経営では聞く子は育ちません。学級では学習のために、家庭では、本人が落ち着いたり、保護者とコミュニケーションを取ったりするために、「静か」な時間を作ってほしいと思います。
__子どもを真ん中にして連携をとる
保護者支援についてはどうですか—-
親子関係を考える時、押さえておきたいのは「子どもと親との愛着」という視点です(図)
「自分の居心地の良い安心ゾーン」→「未知のゾーン」→「できたのゾーン」
子どもは、健全な愛着があってはじめて保護者の元から飛び出していきます。「自分の居心地の良い安心ゾーン」から「未知のゾーン」に出たときに、一回ではうまくいかないから、もう一度安定した安心な基地、つまり愛着を持ったところに戻ってくる。それを繰り返しながら、ある時突破し、新しい「できたのゾーン」に行けるんです。そのために子どもの安心できる居心地の良い場所をしっかりと確保する必要があります。その場所が “家族の愛着”だろうと思います。
例えば、子どもの行動に、「暴言」「暴力」「学習に取り組まない」「言うことを聞かない」「欠席が多い」などの問題があらわれるとき、その根底には、「生活リズムができていない」「授業が分からない」「言語環境が良くない」「DVなどがある」「家が片付いていない」「ごく普通の会話が少ない」「家が楽しくない」「認められる声かけが少ない」「自信がない」「先が見通せない」「不安」「混乱していてどうしていいのか分からない」…など、どんな問題が潜んでいるとも知れません。
保護者や担任は、そこに理解を示し、コミュニケーションを取りながら、本人と距離を縮める必要があります。
担任と保護者の連携としてこんな経験があります。なかなか連絡帳を書かない2年生の児童がいました。そこで私は、朝連絡帳を書いたら職員室に持ってこさせ、手作りカレンダーにシールを貼るようにしました。シールを貼るだけでも子どもはとても意欲を持ったんです。それで保護者に「カレンダーを使ってご家庭でも試してみては」と情報提供したんです。すると保護者は、ご家庭でも”がんばりカレンダー”として学校と同じやり方をやってくれたんです。これをきっかけに保護者と担任の私との信頼関係が深まりました。そしてさまざまな合理的配慮についても話し合いを重ねる流れができていきました。学校にとって「困ったご家庭」は、保護者の方も悩んでいるんですね。困っているのは子供でもあり、保護者自身でもあるかも知れない。学校はそういう視点を持つことが大事だと思います。
発達障害を抱える子どもの子育ては、保護者にとっても難しいときがあります。子どもの意図をくみ取る力量が備わるまでには、保護者にも時間と経験、知識が必要です。子どもを真ん中にして担任と保護者が手を携えれば、解決策が見つかることもあるかもしれません。
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