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一般社団法人読み書き配慮
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菊田 現役のときと浪人のときと2回受験されていますが、1年目と2年目、大学との話し合いはそれぞれ何回くらいされました?
光さん 受験のために私たちが大学に来て話をするのは年に2回でした。最初にお話を伺ったときと、試験場の打ち合わせ。それ以外のときは高校の先生が入試課の方とメールでやりとりしてくださいました。そして、その都度、内容を細かくこちらに回してくださって、「こういう配慮はどうだろう」という話を3者で共有しながら細かく詰めていく。
高校を卒業するときに「資料です」ってやりとりなどをプリントアウトしたものをいただきましたけど、このくらいありました(笑)。
菊田 すっごい!(厚みが)3㎝くらいですかね。1度の入試についてのやりとりだけで3㎝くらいということですよね。
律くん はい。少しずつ詰めていって。
菊田 どういうことを詰めていかれたんですか。
光さん センターに配慮申請をするとまず決定通知書が出ます。センターと同じ配慮を申請するので、その内容をそのまま首都大さんにお渡ししました。でも、運用する学校によって少しずつ状態が違うので、ここについてはどうだろう、こうだろうって話を詰めていきました。
武井 それは出願前申請ですか?
光さん そうです。でも、決定通知書は12月にならないと来ないんです。
菊田 それだと私立にもって行くことができないですね。
光さん 私立はセンター受験しか受けてくれないので。一般受験は「NO」ですから。
菊田 でも、参考にする私立もなくはない?
光さん 決定通知書が出る前、9月くらいに仮決定が来るのでそれを持っていくことはできます。でも実際のところ、9月に私立を回って「一般受験させてください」って言って、そこから検討を始めていただくのでは時間的にも無理なんです。
律くん 9月では遅いです。しかも僕の場合、それまでに回っていたところは9月より前にすでに話として切れていました。
菊田 なるほど。センター入試に関しては、マークシートに対する配慮ということですよね。
光さん そうです。記述式は首都大さんが独自で行うので、そこから先の部分は首都大さんと話をしていくわけです。
菊田 でも、私立なり公立なりの大学がセンター入試の配慮に準じて配慮申請の内容をつくるということは、「マークシートに基づく配慮」に準じて「記述の配慮」を決めていくということになります。実はそこにちょっとねじれがあるんですよね。だから不足がある。
光さん そうですね。でも首都大さんは私たちが来る前にすでにやってらっしゃいました。
菊田 そこがすばらしいです。その部分を独自にやっているわけだから。
菊田 ところで、センターでパソコンの使用はどんな形だったんですか?
律くん 資料をもってきました。これが実際の答案なんですが、チェック回答ではなくて、「こういうふうに書きますよ」っていうのが示されているんです。
菊田 これは最初からベタ打ちですか?
律くん はい。使用できるのはカタカナ、記号、数字のみなので、このへんが全部カタカナになっているんです。
菊田 なるほど。でも、「大問1」「大問2」は「ダイ1」とか「ダイ2」ってなってる。たいへんなんですよね、「大問1」の四角を出すのは。時間もかかるし。
光さん そうなんです。実際の試験中にはそんなことやってられない(笑)。そこで、「こういうふうに書きます」っていう雛形をセンターがつくってくれたんですよね。もし同じような配慮が必要な人がいたらこういう形で、って言ってくれると思いますよ。
律くん センターでちゃんと共有されていれば行くはずです。
菊田 それ、すごい大きな情報ですね。数学だけですか?
光さん 受験科目全てです。だから、もしも高校で「大問の四角」を出すのに苦労しているならば、センター対策としては意味が無いわけです。センターでは「ダイ」ってカタカナで書けば済むのですから。
律くん 数学と理科だけは大問番号があるのでこういうふうに書く。それ以外はこれ【実物例を表示?】だけですね。解答としては数字の羅列だけが残るわけです。
光さん このときのセンター試験は北里大学で受けたのですが、12月13日に決定が出て、そこで場所を貸してくださる北里大学の担当者の方と18日に打ち合わせをしました。
菊田 もう1ヶ月前の時期ですね。
律くん そして、センター試験の前日にパソコンを持ち込んでセッティングしました。
菊田 自分のパソコンですか?
光さん 1年目は高校から貸していただきましたが、基本的には自前です。高校に在籍しているうちは高校から貸してもらうことも可能ですが、センターでは基本は自前のパソコンを使うことになっていました。
律くん それと、プリンターですね。
菊田 プリンターはその場で出力ですか? 出力は時間内?
律くん 試験時間が終わってからです。休憩時間を削る形になりますが、たいして時間はかかりません。
菊田 パソコンはどのタイミングで預けるんですか?
光さん 前日に持ち込んで本人がセッティングします。何かあったときも本人の責任ということで(笑)。
菊田 でも、使い慣れていないパソコンを使うよりは自前のパソコンの方がいいですよね。中身が入っているか入っていないかは問われないわけですか?
光さん 中身を消して使用停止か何かにしなくちゃいけないんだよね?
律くん 「tabキー」や予測変換機能とかは切らなくちゃいけない。ソフトは試験で使用するソフトと受験者が事前に指定し許可されたものだけ。それ以外は開いてはだめです。パソコンの中に入っていてもいいんですけど、確認する手間が増えてしまいます。
光さん これは使ってませんねっていうのをいちいち確認するんです。だから中身は軽ければ軽い方がいいですね。
律くん なので、ソフトは最低限のものを。後はインターネットにつながってないことの確認が必要です。僕は接続の手続きすらしてないやつを使いました。センター入試ではそういう手間がありますね。
菊田 首都大さんの二次はどうでしたか? 打ち合わせは今のような内容を先生がメールでやりとりされたわけですか?
光さん 首都大さんの方ではほぼできあがっているので、こちら側がそれにのっかるような感じでした。
律くん 二次は英語、理科、数学、数学だったんですけど、その科目毎に(大学側から)パソコンが用意されていました。
光さん だから答案もプリントアウトせずそのまんま。
菊田 パソコンで提出するっていうことですね。
律くん パソコンごと回収されていきました。
菊田 つまり、パソコンの使用や答案の提出方法はもう首都大さんの方で決まっていたということですね。では、高校の先生と大学との打ち合わせではどんなことを?
光さん 場所のことなどですね。例えば試験場をどこにするか、とか、どういうふうに入ってくるかとか、そういう細々とした実務的な話です。
律くん 実際に動くときの動線なども打ち合わせました。僕は人混みの中にいることができないので、他の受験者と同じところから入っていくことができないんです。だから、どうやって試験場に入るか。こっそり別室に入って、帰りもこっそり出ていく必要がある。
菊田 人混みを避けるということですね。
光さん それは各学校さんがみんなやってくださいました。センターだったらセンターの会場となる学校と打ち合わせがあって、分刻みじゃないですけど、「何分から何分の間に駐車場に入ってこういうふうに移動してください」というような話があります。間違って他のところに行かないように案内してもらうとか、昼食場所をどうするか、とか。
律くん だから打ち合わせは試験そのものよりも試験外の時間についてですね。試験場に来るところから始まって、試験を受けて帰るまで。休み時間もありますから。
光さん お昼ご飯をどこで食べるか、不測の事態のときにどうするか、とか。そういったところを話し合います。高校ではどうしていたか、という話なんかも聞かれるわけです。
律くん あと、試験中はどうしても長時間座っているので、姿勢を保持しなくちゃいけない。その点についても配慮をいただきました。
菊田 どういうふうに?
律くん つまり、僕の場合、解答が早めに終わっちゃうと、そのままそこでずっと座っているというわけにはいかないんですね。
菊田 そういうときは?
律くん 立ち歩きです。立ち上がってその辺をうろうろ…。その配慮を申請しました。ほら、ここに書いてありますよね、「試験時間中の軽い運動」。歩き回るだけです(笑)。
菊田 なるほど(笑)。
律くん これは高校でもやっていたことなんです。例えば次のテストの時間をずらして早めに始めるとか、その日最後のテストだったりすると、解答が終わったら帰っていいよ、とか。高校はその辺はフレキシブルだったのですが、それを可能な限り再現した形です。受験では試験時間をずらすことはできないので、代わりに立ち歩けるようにしてもらいました。歩いている方が姿勢の保持が楽なので。
菊田 個別の別室を用意してもらったわけですね。
律くん 個別の別室で、解答が終わったら突然立ち上がってうろうろする(笑)。
あと休み時間の休憩場所もそうです。そうやって立ち歩いても姿勢を維持するのは難しいので、体幹を休められるような場所が必要になります。つまり、寝転べる場所なんですが(笑)。つくっていただきました、センターでも首都大でも。椅子をつなげて寝っ転がりました。
光さん そういうのも最初にセンターでOKをもらったら、首都大さんの2次のときにも同じようにOKをもらわないといけないんですが、会場 (センター試験を受ける大学は首都大ではないため、建物の構造など)が違いますから、運用の仕方もちょっと違うんですね。だから、そういう点について細かい話し合いが必要になります。
ベストな状況で試験に臨めるようにということで、どこの場所がいいか、とか。例えば、センターの会場では吹き抜けにちかいところに場所を用意していただいたんですね。そうしたらやっぱり音がしんどくなってしまって。
律くん 下の階で他の受験生が受験しているので音がけっこう上がってくるんです。
光さん だからお弁当を食べる部屋に移動していいですか、みたいな。そういうこともあるので、その場に行きつつお話し合いをしつつ、という感じでした。
律くん 会場の条件もいろいろですから。
光さん センターにこういうふうに配慮申請をしました、ということを首都大さんにお伝えすると、夏ぐらいから両方(大学の担当者と高校の先生)で配慮についての細かい打ち合わせが行われます。
律くん 細かい調整をしていくことになる。
光さん 全てメールでのやりとりなんですが、高校の先生だけでOKを出すことはなく、律に見させてもらってその結果を高校を通して話し合っていただきます。なので、やりとりは膨大な量になりました。でも、こうして細かい配慮をしていただいたので、センター入試で配慮申請したことは全部通していただけたんです。
律くん 不許可事項はゼロでした。
菊田 高校が交渉のフロントに出てくれたということですよね。
光さん そうです。浪人になっちゃってからは私が代わってやるんですけど、去年の実績がありましたから。「去年と同じです。ただ1、2点違うところが有ります」っていうお話だけする感じ。お願いした配慮は基本的には高校に入学したときからやっていただいたことと同じです。
律くん 高校での配慮をたたき台にして、それをセンターでやるにはどうしたらいいか、という感じですね。
菊田 そうですよね。神奈川県の高校入試は、中学校での配慮がベースになりましたので中学校の先生とよく話し合ってくださいってはっきり要項に書いてありますよね。
律くん 僕も中学では実績だけはなんとか確保してきました。制服を着ずにテスト受ける実績とか。
光さん やっぱり実績があるかないかは大きかったです。
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