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令和元年度 全国中学生人権作文コンテスト東京大会 奨励賞
府中市立府中第五中学校 1年 小林 葵
世の中にはいろいろな人がいます。
女の人や男の人、赤ちゃんや、子供、お年寄りの方もいます。メガネをかけている人もいれば、障害のために車いすを利用している人もいます。
それぞれの人たちが、ちょっとした困難を乗り越えながら、お互いに支え合って生活しているのが、私たちの社会です。
でも、お互いに支え合って生きていくには、相手のことを理解しようとすることや、自分のことを理解してもらおうと努力することが必要です。
けれども、目に見えない困難は、なかなか理解されないものです。私の弟のように心臓に障害がある人や、自分の性別に違和感をもっている人も、そうかもしれません。
私たちの周りには、自分の困難をなかなか理解してもらえず、困っている人もたくさんいると思います。
私は、読むことや書くことが苦手です。
例えば、国語の授業では、教科書の音読をする時に、読めずに止まってしまうことがよくあります。理科などのテストでも、問題文を読むのに時間がかかり、全部の問題がとけないこともあります。
音読の時には、周りの人が読めない字を教えてくれたり、テストの時に読めない字があると先生が教えてくれたりしたので、読むことでは、あまり困ることはありませんでした。
でも、書くことは、とても困難です。特に、漢字のテストが苦手で、練習してもなかなか書けるようになりません。
それでも、小学校では、出題される範囲や順番が同じだったので、問題を頭の中で写真をとるようにしてそのまま覚えていました。
小学生の時は、周りの人に助けてもらったり、自分で工夫したりしながら、なんとか生活してきました。
中学生になってからは、困ることが多くなりました。
中間考査や小テストでは、周りの人に聞くことができず、平均点さえもとれないことが多くありました。
高校受験のことを考えると、とても心配になりました。
そこで、いつもお世話になっている病院の先生に相談し、検査を受けることにしました。その結果、私は、ディスレクシアと診断されました。
ディスレクシアは、読むことが困難な障害です。読むことが困難なので、書くことも難しくなります。
日本では、あまり知られていませんが、英語を使う国では一割以上の人がディスレクシアと言われていて、有名な映画監督や俳優もそうであることを告白しています。
私も、初めてディスレクシアと言われた時は、そんな障害があるとは知りませんでした。でも、原因がはっきりしたので、少しホッとしました。
病院では、自分が苦手なことだけでなく、パソコンを使うなどすれば、みんなと同じように勉強ができることも教えてもらいました。
二学期からは、プリントにルビを振ってもらったり、パソコンをつかったりして勉強できることになりました。学校の校長先生や先生たちが、どうしたら私が楽しく勉強できるようになるか、一緒に考えてくれたのです。
パソコンを使えば、黒板の文字を写したり、正しい漢字を探したりできるので、今より授業に集中できるのではないかと、とても楽しみです。
それでも、不安がないわけではありません。パソコンを使って勉強したりテストを受けたりするときに、周りの人がどう思うか心配です。ずるいと思われたり、読み書き以外のことについても、あれもこれもできないのではないかと誤解されたりするのではないかと思うからです。
世の中には、自分以外にも読み書きなどで苦しんでいる人がいると思います。だから、たくさんの人にディスレクシアのことを知ってほしいと思いました。みんながディスレクシアのことを理解してくれるようになれば、私のように不安があっても、周りのみんなと同じように勉強できる人が増えると思います。
そして、目が見えない人がメガネをかけるのと同じように、パソコンを使うなどして勉強することが、あたりまえになってほしいです。
そんなちょっとしたことが、あたりまえになる社会に、なってほしいです。
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