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あるよセレクト
2020.02.20
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#27【大学】大学に進学するということ

【大学】「字は全く書けません」

重い書字障害と聴覚過敏等がありながら大学受験に挑戦した金坂律くん。合格に至るまでの道のりと大学での生活についてお話を伺いました。

 

菊田 金坂律くんはこの春、大学受験を経験されて今は首都大学東京の1年生として充実した毎日を過ごしていらっしゃいます。その貴重な体験についてお話を伺いたくて、今日はお母様の光さんと一緒にお越しいただきました。さっそくですが、律くんの困難な状況から聞かせていただいてもいいですか?

 

律くん ええと、発達障害、各種感覚過敏、それから重い書字障害があります。字は全く書けないので、基本的にはパソコンとiPadを使ってものを書いたり勉強したりしています。

菊田 今日はかっこいいTシャツを着てらっしゃるんですよね。胸のところに大きく「CHALLENGED PEOPLE」、その下に「障害をもっています」って日本語で書いてある。

 

光さん 小学校に入った頃からずっと愛用しているTシャツです。小さいサイズではこの「PEOPLE」 という文字が 「CHILD」になっていたと思うんですけど。障害があることを小学校のときからオープンにしていました。どこか出かけたときに何かあったら説明している時間はないじゃないですか。

 

律くん 倒れたりすることもあるので、不測の事態に備えて。混んでいる電車で「何か障害があるんですか」と言われて席を譲ってもらったりとか、助けられたこともあります。

 

光さん 逆に難癖つけられることもありますけど。「障害があるからっていばってるんじゃねえよ」とか「わざわざ言わなくても」、みたいな。

 

菊田 イヤマフもいつも着けていらっしゃるんですか?

 

律くん そうですね。大学に通うようになってから、ほとんどずっと持って行ってます。

 

菊田 ノイズキャンセリングヘットフォンじゃなくてイヤマフなのはなぜ?

 

律くん ノイズキャンセリングヘットフォンは僕の聴覚過敏に対してあまり効果が無いんです。僕はノイズを大きく拾うというより全部の音を大きく聞いてしまうタイプの聴覚過敏で、ノイズだけ消してもあまりストレスは減りません。これはなんの変哲もないイヤマフで、室内工事用の防音のものです。

 

菊田 聴覚過敏はいつぐらいから?

 

律くん ひどくなったのは小学4、5年頃です。聴覚過敏は小さい時からあって、少しずつ段階を踏んできてたんですが、より強くなったのは運動会の練習がきっかけでした。

 

光さん 未就学児のときから大きな音は苦手っていう感じはありました。幼稚園だと子どもたちが大きな声でわーって言うことがありますよね。そうするとパニックを起こして倒れたり、一時的な記憶障害になることがあって。それでも、まあふつうに暮らしていたのですが、そのうち大きな聴覚ストレスを受けると熱を出して1週間くらい寝付いてしまうようになりました。そして小学校5年生のとき運動会でソーラン節を踊って、それに使う太鼓の音を近くで拾って倒れてしまったんです。それからですね。

律くん 変化としてはそれがいちばん大きかったかな。

 

光さん 学校で倒れて、なんとか家には帰ってきたのですが真っ暗な部屋でふとんをかぶってじーっとしているという状態が何時間か続きました。その後しばらくは家から出ることもできなくなり学校も欠席しました。

 

菊田 わかります。ちょうど同じような年齢のとき、うちも同じような経験があります。

 

光さん 小学校高学年くらいのときに多いですよね。律が言うには、「配線が変わる」んだそうです。その後は感覚が変わるし、できなかったことができるようになったりします。

 

律くん 逆(できたことができなくなる)もあります。それらが一気に起こる。一気に変化するというか。脳の中の配線が変わったみたいな感じで、一気に感覚が変わるんです。

 

 

聴覚過敏で誰と話しているのかわからなくなることも

 

光さん 律は一緒に歩きながら話していても、いつの間にか「何の話?」ってなることがあります。

 

律くん 違う人と話していることがある(笑)。

 

光さん ここで私と話していたのに、どこかでスイッチして向こう側の全然知らない人に返事をしてたりするんです。

 

菊田 律くんが? それって顔認識の問題ですか?

 

光さん 聴覚過敏があるので距離感がないんですね。だから隣で話している人なのか、少し離れている人なのかよくわからないらしいです。

 

律くん 気がつくと他の人の会話に混ざってしまっている(笑)。

 

光さん それに、いつも同じ格好をしてくれって言われます。(服の雰囲気が違うと)区別がつかないって。

 

菊田 わかります。私も相貌失認で、けっこうひどいんです。自分の娘と息子がかなり怪しいっていう(笑)。だから、めがねとかお洋服とかで区別するんです。

 

光さん 律もあんまり顔は見てませんね。首から下で区別してるのかな、だからあまり違う格好をしないでくれって言われます。ちょっと違う色やフォルムの服を着たりすると一緒に行動するときに不便なので。

 

律くん たまたま似たような格好の人がいたりすると、違う人の方について行っちゃったり(笑)。

 

菊田 それって、たいへんだけど超個性的。ちょっと面白い生活ですよね(笑)。

 

 

熱が出たときは隣で「夜勤」をしてました

 

菊田 ところで、夜驚はどうでしたか? 律くんやうちの息子のようなタイプのお子さんにはわりと多いような気がするんですが、うちも夜驚がひどくて。でも、周囲には夜驚の体験を共有できる人たちがあまり見つかりませんでした。そんななかで、似た特性をもつお子さんはそういう体験をけっこうしていらっしゃった。で、親御さんたちに「夜驚がひどくてちょっと困ってる、これがいつぐらいまで続くのか」って聞いてみたんです。それから、「インフルエンザのときの幻覚がいつくらいまで続くのか」。熱が出たときの幻覚、やっぱり怖いじゃないですか。そうしたら、金坂さんが「それはだんだん大きくなるにつれて薄れていきますよ」というようなことを返してくださったことがありました。

光さん そうですね。実際、うちは中学校いっぱいくらいでほぼなくなりました。

 

菊田 もう幻覚もないですか? 熱のときの幻覚とか。

 

光さん というか、熱を出さなくなりました。この間、久しぶりに熱を出したんですが、ちょうど前期のいちばん最後の試験のときで。試験は、今いるこの部屋をお借りする都合もあって、少し前から準備を進めていたんですが。

 

律くん テストから帰ってきて、さあ次の試験の勉強しようって思っていたら、「調子がおかしいぞ?」って。そうしたら38度くらい熱があって。で、試験は延期にさせていただきました。

 

菊田 8度くらいだと幻覚は出ないですよね。

 

光さん 39度くらいになると多分出ると思いますね。

 

菊田 息子は高校2年生なんですけど、この間も幻覚を見ました。やっぱり怖いですよね。

 

光さん 何をやり出すかわからない。

 

菊田 本人もわからなくなっているから。力も強くなっているので、もう本当に怖いです。

 

光さん そうなんですよ。瞬発力なんかもあるんで、ちょっと危ないなと思うと、寝るときもずっと隣について。「夜勤」って言ってます(笑)。

 

菊田 ほんとに夜勤ですよね、もう寝ずの番。

 

光さん うとうとしながら、隣でガタっていうと、うわーって押さえる。ラグビーのタックルに行くような、ライフガードみたいな。

 

菊田 私もそうです。夜驚のときって毎晩そうじゃないですか。隣でちょっとガタっていうと「うわっ」て飛び起きる。動いたら危ないから。動き出しちゃうと、どこかへ行っちゃったりするわけですよ。

 

光さん どこ行くかわからないんですよね。

 

菊田 速いんですよね。だから私の方は寝ながらもいつも意識はあるような感じでした。

 

光さん 半覚醒みたいな感じですよね。ちょっと怪しい寝言とかあると、がばって飛び起きて。

 

菊田 大丈夫かな、って見守るみたいなね。

 

光さん そうなりますよね。とりあえず今はほとんどなくなりましたが、熱のときはやっぱり危ないので隣にいます。もう、律が大きいので私は小っちゃくなって、こそっと踏まれないように(笑)。

 

次回は、「高校入試」についてのお話です。
3月10日会員限定での公開です。どうぞお楽しみに。

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