【お問い合わせ先】
一般社団法人読み書き配慮
〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4毎日新聞社早稲田別館5階
あるよ相談についてお問い合わせ
その他サービスのお問い合わせ
菊田 律くんの指導計画を見ていると、会話の練習もそうですけど、入試に向けて例えば、体調を自分で把握してそれを自分で申告するっていう練習もなさっていますよね?
それ、大事なポイントですよね。まず日常生活の中で、自分の体調を把握するっていうことも。
内藤 そのころ、道端でばたっと倒れるということがしょっちゅうあったので、
菊田 何でですか?
内藤 やっぱり自律神経が・・・疲れていたりとか、過剰に状況を捉えちゃったりとかで。でもこんなにでっかくなってきちゃったら、お母さんがおんぶして連れて帰ってこれないとおっしゃって。
ちょっとそうなる前に自分で何とかした方がいいよねって。
ちょうど身長がニョキニョキと伸びてる時期で。身長伸びているときは毎日違う。夜はここを通れたけど、朝になったら通れないとか、そういうことだって起こるんだからねとか話したりしてね。で、具合が悪いってどういうことだと思う?って聞いたら「さぁ?」って言って、それが分からない。
菊田 それはどうやって教えていったんですか?
内藤 律くんの場合は、階段でつまずくのが目安。一回じゃなくて、1階から4階まで来るのに、二回も三回もつまずくときは、思っているほど足が上がってないよね。それはやっぱり調子がよくないってことなんじゃないのかね?って、なんというか刷り込んで言った感じ。笑。
階段でつまずく。それから、お家で階段から落ちることもあった。それから、よく体をぶつける。家の中で体をぶつけるようだったら、調子が悪いよ!っていう話をしたのと、身長が伸びているときは、朝起きて手を広げて、自分の範囲を確認しなさいっていうのをしていましたね。それで、指導が始まると毎回「今日はどうですか?」って聞いて、「どうですかって聞かれても困るんだよね」って言うから「じゃあ、今日はちょっと時間を短くしてほしいなっていう気持ちなのか、それとも勉強たくさんしていいって言う感じなのか、なんとなく何か分からないけどなんかねぇ~って気持ちがあるんだったら言ってください」っていう風に「何かなぁ~って思うなら、それは調子が悪いっていうことだから。よく分からないけど変!とか、何かなぁ~って思うならそれを「調子が悪い」と言います!」って私がネーミングをして。じゃあ調子が悪いんだったら「勉強の時間を少なくしてください」とか「今日は書くのはやめてください」とか頼みなさいと言って。それも、最初のうちは「はい!どうぞ。リピート・アフター・ミー」みたいな感じで。笑。
そしたら自分で階段をのぼりながら、「今日はなんか調子よくないですかね」って言って、「じゃあどうする?どうしてほしい?」って言ったら、「今日はちょっとゲームを多くしてください」とか言って、「ああ、じゃあ分かった。今日は勉強は10分くらいにして、あとはゲームにしましょう」とかっていうことでだんだん。だから本当に言葉でって言うことよりは、ぶつかるんだったら調子が悪い、とかそういう分かりやすい方法を律くんには覚えてもらって、それを「調子が悪い」と言います。それで、お家でも「ほら、内藤先生が言ってたでしょう?今日はぶつかるんだから調子が悪いのよ。今日はおとなしくしていなさい」とか、「サッカーはやめておきなさい」と繋げてもらってやっていました。
夏野 その場その場で状況を言葉で伝えながら、自分の状態を把握していく練習を積み重ねてきたんですね。
菊田 それから口述筆記の練習って言うのもなさっていますよね。それはいつぐらいにどんな目的でなさったんですか。
内藤 小学校の時からスキャナーで読み込んで。4〜6年の時の先生が支援級やったことないのに、すごく一生懸命「勉強します」っておっしゃってくれる先生で、すごくよかったんですよね。
写真:これ、律くんの小学校の時のなんですけど。
内藤 一度私も教室を見に行ったんですけれども、衝立で、パソコンとスキャナーの自分のコーナーを作ってもらって、支援級なんだけど、律くんはその枠の中で勉強をしていてプリントをスキャナーで自分で読み込んで、テキストボックスで文字を入れてたテストを受けていました。それでスキャナーで読み込めない時は、紙のテストの答えの部分に〇をつけて線で引っ張ってくるっていう方法を学校でやってて。
そのやり方をちょっとここ(フトゥーロ)でも。「何文字抜き出しなさい」という問題のときには、ここに線を引っ張って、抜き取ってくる。でも「何文字でまとめなさい」という問題が出てきた時に、書けないからどうしようもなくなって。「じゃあ、答えを言ってくれたら私が書くよ」って言ったのが最初のきっかけで。これは今後書けない場面がいっぱい出てくるよな、と。なんせ住所を書けないので、「住所書いてください」と頼まなきゃいけない場面はこの先出てくるだろうな、と思って。それで、口述筆記の練習を始めました。
だから、受験用って言うよりは本当に社会に出たときに、人に頼んで書いてもらわなきゃいけないことを考えて。最初は頼むってことがまずできなかったので、そこから練習しました。
菊田・夏野 へぇ~。頼む練習?
内藤 はい。それから律くんの場合は、ちょっとの量でも、律くんは頭の中で保存しておくのは難しい。脳みそがフル稼働しちゃうからばーって答えを言ってしまって。「そんなに早く言われても書けません!」「頼んだら頼みっぱなしじゃなくて、私の手元を見ていてください」って。「1センテンスくらいずつにしてくれない?覚えられないから」と言って。私が書いて、そろそろ終わるなと思ったら、次のセリフを言ってもらってこちらが書くっていう練習をすごくしました。脳の中の情報をキープしつつ小出しにしてもらう練習という感じでしょうか。
***=====***=====***
次回は、7月1日会員限定公開です。
【お問い合わせ先】
一般社団法人読み書き配慮
〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4毎日新聞社早稲田別館5階
あるよ相談についてお問い合わせ
その他サービスのお問い合わせ