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武井 大学入試に向けて、センター入試では、状況報告書っていうのを高校から書くようになっているんですけれども、今現在している、配慮の内容を書き留めておいたり、書面でやり取りしたりとかは、していらっしゃるんですか?
西山 一応、こちらで面談の記録も全部取っています。ほかの分掌とも話し合って、こういう配慮をしましょうっていうのは、システムとして取り入れていっている最中です。本人とは面談を通して話し合いを進めていますし、合理的配慮の確認は書類を通して行っているので、まとめることは可能です。
深見 きちっとした形になっているかって言ったら、そうではないかもしれないけど、彼に対してどういうことをしたっていうことは記録として残しています。
武井 十分ですよね。状況報告書を作る段階で記録がなくて困られたりするので、今記録を残しておられるということは、入試に向けても準備ができているっていうことになりますよね。
深見 書面にするのはなぜかというと、保護者・本人に撮ってみれば、学校がどう考えて、何をやってくれているのかが見えない状況っていうのは、すごい不安で、ストレスがかかるところだろうというところがありますね。その不安の解消のためです。もう一つは大学入試センターに問合せをした時に、大きい入試センターで、実際個々の対応がなかなか難しいところがあるんだろうなとは感じましたけれども、入試センターが考えている必要最小限の配慮事項をでは決して十分ではない。その時に融通が利かないかって言ったら、決してそうではないんじゃないかと。我々が「こういう配慮をして育ててきています」っていう布石を敷ければ、そこに配慮を頂ける可能性はあるんじゃないかと思うので。そのためにきちっと書面に残しています。
菊田 甲斐君からは、非常に楽しく学校に行っている様子を聞くんですけれども、こうしてお伺いしていると、なるほど甲斐くんは本当にいい学校にご縁があったんだなぁって感じます。
菊田 大学入試に向かっては甲斐君はどんな風に勉強していますか。甲斐君の日常を教えてください。
西山 他の子に遜色がなくよく理解しています。得意分野に関してはむしろ良くできたりします。この前お母様とちょっと電話でお話した時に、中学校までは「漢字を書く意味が分からない」と言っていたと。高校では漢字の小テストが毎週あるんですけど、彼、結構毎回満点とか取ったりするんですよ。漢検でいうと2級レベルとかバンバン入ってくるんですけど、合格の方が確実に多いですし、満点取ったりもしてるので、やらなければならないっていう意思を持って、本人が相当勉強しているのかなって思います。
菊田 甲斐君は観察眼も鋭いし、真理を突く力もすごく鋭い子ですが、以前はその鋭いところが辛辣な言葉になって口に出てしまうところがあって。いが栗みたいな頃があったんですけれど。
でもその彼が、中学校を卒業するときに「中学の先生や仲間たちに受け止めてもらって、僕は角が取れていく、丸くなった」って話してくれて。それを聞いた時も涙が出たんですけど。
今日お話を伺って、その状況が今も続いていて、彼にはいい成長の場が与えられているんだなって思いました。
菊田 最後に、これは全国に伝えておきたいということはありますか。
深見 うーん笑。やっぱり、環境が満点ということは恐らくなくて、彼が卒業するまで毎日毎日課題は出てくるんだろうとは思います。例えばいま1年生ですけど、春になれば2年生で新しいクラスになる。彼を許容する環境が当然変わってくるし。彼が今希望しているのはSSクラスっていうSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)のクラスで、それは自分達でテーマを決めて課題研究までやっていくんです、2年間。そのグループの中で、一緒に研究をしていくという段階でまた別の課題が出てきたりとか。あるいは彼自身がつまずくところも出てくるかもしれないと。そういう部分は、学年主任を中心として学年のスタッフがサポートしていこうと今一生懸命やってくれています。あとまあ、入試とか対外的なものに関しては、われわれ管理職の担当する部分かなっていうところで。西山先生とは前任校からの関係もあるんですけど、わりとあれしろ、これしろという風に言ってくるので。笑。
菊田 逆ですね!!笑。教頭先生もがんばらなきゃいけないですね。
深見 本当ですよ。笑。
現段階では恐らく、合理的配慮はやっていく中でいろんなことが出てくる。入試センターの対応とか、今回の入試にしてもそうですが。「うちの学校だけ」というのではダメで、また「思いだけ」でもダメで。思いを実現していく「ルート」とか、「役割」とか、そういう部分が同時に備わっていかなければならない。「誰かの恩情で」なんていうことだと、いずれ限界が来るんだろうなとに思っています。この学校が実際に課題に向き合いながら実践する中で得てきた「こうしたらいいんじゃないか」っていうノウハウや提案を、いろんなところで提供できればいいんじゃないかなと思ってます。
菊田 お互いに情報共有しながら、学び合いながら、この制度自体の精度を高めていくってことですよね。読み書き配慮も現場と一緒になって、できる限りのお手伝いをさせていただきたいと思っています。この分野を一緒に切り開いていけたらなと。
武井 先生方にとって、一言で「合理的配慮」とはどういったことだと思われますか。
西山 「合理的配慮」って全然分からなかったんですけど、去年と今年と、実際の生徒を見て、やってみて思うのは、個別の対応はその子を見て必要なことをしなきゃいけないんだけど、やっぱりベーシックでその子の配慮が周りへも救いになることが結構あると思います。例えばフォントとか「もう全部UDにすればいいのに」と思ったりします。それで困る人はいないよなっていう。だからやっていく中で、個別の配慮と、すぐに全般に広げていい配慮っていうのがもっと見えてくる部分もあるのかな。ということを思ったり、世の中が早くそっちを向けばいいのにと思ったりします。
深見 「合理的配慮」っていうのは、言葉にすると本当に堅いイメージなんですよね。去年からうちも本格的にこういった手続きでと、ーまだ本当は定まっていない所も正直あって、自転車操業的なところはあるんですけど。 まあその「合理的」っていうのは言い換えれば、「理に合った」っていうこれは、「当然なんだ!」ってことなんだろうと思うんですよね笑。つまり、「当たり前」なんだということなんだろうと。だから、わざわざ「合理的配慮」っていう仰々しい言葉に起こさなくってもできるっていうことが恐らく真理であり、制度の狙いなんだろうと理解しています。ただ、そこにたどり着くにはなかなか難しい、越えなきゃいけない所はあるだろうと思っています。
菊田 今日は本当にありがとうございました。
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