【お問い合わせ先】
一般社団法人読み書き配慮
〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4毎日新聞社早稲田別館5階
あるよ相談についてお問い合わせ
その他サービスのお問い合わせ
私は普段は総合商社に勤めています。2年前から読み書き配慮のお手伝いをするようになったのですが、読み書きに困っているみなさんの事例に接しているうちに、社会には発達障害を抱えた人たちが数多くいることに気付くようになりました。
A君もその一人です。彼とは何年か前に一緒に仕事をしたのですが、そのときADHDなのだと教えてくれました。確かに普段の彼は落ち着きがないのですが、興味のある仕事となると、途端に集中するのです。特に難しい計算の仕事になると、数字にこだわってしまうらしく、夜も寝ずに仕事を仕上げてしまいます。あまりの勢いに驚かされて、そんなにがんばらなくていいからと言っても、A君は嬉しそうな表情で、「寝だめできるので、大丈夫です」と、こともなげです。しかも仕事が早いだけではなく、出来上がってきた仕事(レポート)の内容は、美しいほどに素晴らしく、計算も正確で間違いがない。反面、本人にとって興味のない仕事となると、「つまらないから嫌だ」とはっきり言います。あまりにはっきり言いすぎるので、周囲からKYなどと陰口を言われるのですが、本人に一向に気にする様子はありません。
ところでみなさん、仕事ができるってどんなことなのか、分かりますか。仕事ができるとは、社会で結果を出すことです。サッカー選手でフォワードなら点を取ることですね。商品を売る会社に勤める人なら、たくさんの商品を売ることでしょうか。そしてサッカーでは、選手だけではなく、選手を使いこなす監督も大切な存在です。それと同じように、多くの人が働いている会社で、会社全体を指揮する経営者の仕事はひときわ大切です。ずっと以前にやはり同じ職場にいたBさんは、とても仕事ができる人でした。現在では大きな会社で社長をしています。でも一緒に働いていたころは、いつも落ち着きがなく、短気で、いらいらしていました。人の言うことは聞かず、自分が一番偉いのだと思っていたようです。人のやる仕事はとにかく気にいらないらしく、ダメ出しを連発していました。今にして思えば、特に何かに困っているようには見えませんでしたが、発達障害の人が持つ性格をとても強くもっていました。当時はなかったことばですが、まさにKYそのものでした。今では社長Bさんの指揮のもと、Bさんの会社は順調に発展しています。
そんな経営者のなかでも、特にかわっていると私が思うのは、イギリス人のリチャード・ブランソンさんです。彼はかつて、社長をしていた会社で、宇宙旅行計画を発表しました。ところが、それを聞いた周囲の人はみな笑いました。そんなこと、できるわけがない、というわけです。でもどうでしょうか、今では宇宙旅行なんて、いろいろな会社が計画していますよね。今、宇宙旅行を計画していると言って、笑う人がいるでしょうか。ある大学入試のパンフレットに、「障害は武器だ」と書かれてあったことを思い出します。リチャード・ブランソンさんも読み書きが不得意という障害を持っています。以前の私なら、「障害は武器だ」と聞いても、笑っていたのかもしれません。でも今は、笑うことができない。そこに真実が宿っているからです。
君たちの活躍を願ってやみません。
読み書き配慮 監事
武井 典明
【お問い合わせ先】
一般社団法人読み書き配慮
〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4毎日新聞社早稲田別館5階
あるよ相談についてお問い合わせ
その他サービスのお問い合わせ