【お問い合わせ先】
一般社団法人読み書き配慮
〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4毎日新聞社早稲田別館5階
あるよ相談についてお問い合わせ
その他サービスのお問い合わせ
母のストーリー
あるよストーリーで山口幸強君(17歳)が語ってくれた現在と未来。充実した高校生活を過ごす幸強くんを、お母様の美香さんは、これまで見守り支援されてきました。Readyforでは一部しかご紹介できなかった、美香さんのストーリーです。
息子は、7歳の時に高機能広汎性発達障害、学習障害と診断されました。最も困難を感じているのは、「行動全般 遅い」という事です。何をするのも時間がかかり、急ぐことを促しても早く動くことが出来ません。
読み書きは、就学前に練習を始めました。特に嫌がることはありませんでしたが、声を出して読むことは殆どせず、本を逆さまのまま、眺めていることが多かったです。また、時間をかけて書いた字は、いつになっても文字らしい形には、なりませんでした。
息子は長いこと、自分が特殊だとは思わず、みんなも僕と同じように、読み書きに時間がかかるもの、そして文字が動くものと思っていたようです。学年が上がると、そんな息子をイジったり、馬鹿にする子も現れ、抑えられない気持ちから、教科書をビリビリに破いたり、ランドセルを丸ごと、びしょ濡れにして帰って来ることもありました。時には、突然 教室を飛び出し校外に脱走し行方不明になった日もありました。 息子が、感情を抑えられず、騒いでいる姿を見た人の中には、「こういうキレる子が、将来 殺人をおこすんですよ。」とか、「発達障害という事は、いつ事件を起こしてもおかしくない。」など、心ない言葉を言われた事もありました。 また、児童精神科で処方された薬を服用していると、「そんな薬を飲ませて気が知れない。親ならば、食事や栄養から採らせれば良い。親の育て方が悪いから、言う事を聞かないのだ。」と言われ、聴覚過敏を説明しても、「男の子なのだから、大きな音くらいで、怯えるな。」と身近な人でさえ、理解して貰えないこともありました。 息子は、興味のあるものへの執着心がとても強く、知りたい事があると本や図鑑を時を忘れて、読んでいました。 一方、学校での勉強は、読み・書き・計算は、遅いに加えて、板書を写すだけで精一杯、話は聞けず一心不乱に書いた文字は、本人にも読めませんでした。 小学校では、先生方が息子の特徴を理解してくださり、精神的には助けられましたが、学習の具体的な配慮は叶いませんでした。テストが時間内に終わらない。そこで、先生は達成感を感じられるように、続きを別の時間に設けて最後まで、やらせてくれました。時間さえあれば、出来るんだ、という証にもなりました。ところが、採点は時間内にできた問題までなので成績には反映しません。納得できない歯がゆさの中で、息子は、みんなと同じようにしたいと、人一倍書くこと読むことに力を注ぎました。 先生のご支援もあり、なんとかやる気を繋いでいましたが、転居をきっかけに、取り巻く環境が変わり、小学校の先生の理解を得ることができなくなりました。 新しい小学校では、息子の困り感を説明しても、「自分の力で書くことは、大事です。タブレットを使うだなんて許可できませ ん。」「お母さん甘やかさないでください。学校では、皆同じように学んでもらっています。」「他にも、苦手な子はいます。それでもみんな、普通にやっています。息子さんも頑張ればできます。不公平なことは出来ませんので、例外は受けられませ ん。」「いつか、タブレットを使って学ぶ日が来るかもしれませんが、今は、文科省からの通達がないので出来ません。将来通達が出れば、仕方がありませんので、行いますが、今は無理です。」と4名の先生に囲まれ一方的に言われました。 宿題にかかる時間を訴えても、「息子さんが、終わらせて来ないと、同じグループの子たちが連帯責任になるので、困ります。必ず終わらせて来てください。」。 グループから抜いてもらうようにお願いすると、「息子さんは、孤独になって嫌な思いをしますよと、本人に聞いたら、みんなと同じ様にやりたいって言ってましたから」と。 寝る間を惜しんで、懸命に机に向かっている息子の姿を見て、涙が出ました。親としての無力さを痛感し、11歳の子どもに、徹夜までさせることに落胆する日々でした。 その後、DO-IT Japanと出会い、学校の学び方とは違う方法を知り、自分と同じように困っている人たちと出会い、仲間ができ、励まされ息子は変わりました。学び方は、1つではないということ、そして、自分の事を理解してもらう為に、困っている事を相手に分かるように伝えることは、とても大事で、相手の理解を得て、他者の力を借りていいんだという事を学びました。 中学校での配慮は、学校と幾度も話し合いを重ね、学級の様子を見極め、慎重に導入を検討したため、希望が叶うまでには時間がかかりました。 受験対策は、3年生になると同時に、先生方と動き始めました。中学校の校長先生から息子の志望高校の校長先生へ連絡をとってくださり、話を聞いて頂きました。 インクルーシブ教育やグローバルリテラシーの育成、アクティブラーニング重視の教育などに力を入れて行こうと、とても意欲的な先生で熱心に話を聞いてくれました。 中学校の校長先生だけでなく、志望高校の校長先生までもが、県の教育委員会へ働きかけをしてくださいました。ただ、前例が岩手県のみならず、周辺の県でもないことから、交渉には時間がかかりました。 息子は、たくさんの方の支援があり、無事 第一志望校に合格する事が出来ました。 学校も教育委員会も私たち親子も皆、初めての経験で、1つ1つ慎重に 手探りでしたが、幸い環境や人に恵まれ、良い方向に導いてくださいました。 後になってわかったのですが、先生方は息子の「僕は、岩手県のファーストペンギンになりたい!」という言葉に、どうにかしてあげたいと、心動かされたそうです。 確かに、息子は自分への配慮というより、「これから社会が変わって欲しい!」という気持ちの方が強かったと私も感じていました。 息子も高校2年生、大学受験の配慮申請について、先生方と話し合いを始めたところです。 ※夕日の写真は美香さん撮影
★現在公開中のあるよストーリーはこちらからご覧いただけます★
【お問い合わせ先】
一般社団法人読み書き配慮
〒169-0072 東京都新宿区大久保3-14-4毎日新聞社早稲田別館5階
あるよ相談についてお問い合わせ
その他サービスのお問い合わせ